スギ材に触れながら楽しみの時間を スギコロ [宮崎県都城市:株式会社トーア]
鉛筆、家具に、住宅。私たちは、たくさんの木材を使ってきました。あなたが使う、その木製品は、もしかしたら「環境問題」を改善することに繋がっているかもしれません。合法伐採木材を「使う」ことが、木材を「育てる」ことに繋がる。木材を使うこと、それによって繋がる未来があること。株式会社トーアの大西さんに、熱い想いをお伺いしました。
株式会社トーアは元々、電車の線路に使用される「枕木」を取り扱う木材屋でした。そこから73期目を迎える、木と共に歩んだ歴史ある会社です。現在は、流通店舗を多く手掛けており、そこにはお客様の「流れ」が生まれています。お客様の流れを生むことは、社会貢献・インフラ整備に繋がっていく。株式会社トーアの誇りのひとつです。
「子どもたちの遊ぶ姿は、本当に心が惹かれる」と、大西さんは語りました。子どもたちの未来を守るためにも、合法的に伐採された木材を使ってほしいのだそうです。一体、どういう繋がりがあるのでしょうか。環境問題は、心のどこかで気になる問題の一つです。「私は、今暮らせている。でも、子どもや、その子ども達の未来は一体どうなるんだろう……。」子どもに何かあれば、親は悲しみます。もちろん、子どもが親になったときも、きっと同じ感情を抱くことでしょう。環境問題は、自分自身に関係ないようで、密接に関係する事柄なのです。
「木を伐採する」ということが「環境に悪い」というイメージのかたは、まだまだ多いのではないでしょうか。実は、一概にそうとは言えないのです。スギの木は40年から50年で成長し、人間と共に育つサイクルで、きちんと管理されれば、SDGsにも謳われる持続可能な材と言えます。「計画的に植林されたスギの山は、畑と一緒と教えていただきました。」大西さんは、話します。老木は、二酸化炭素をあまり吸えないそうです。しかし、それを伐採し、新しい木を植える。植えた若い木は、成長のために多くの二酸化炭素を吸ってくれる。伐採と植樹がセットになることで、環境問題を改善することに繋がるのです。しかし、スギの使用量が増えなければ、そのサイクルを回していくことはできません。
現在、宮崎県は、スギの素材生産量が日本一を誇り、都城地区には国内有数の国産材供給基地があります。そのような木材業が盛んな地で、20年前、大西さんは入社し、これまで広く木材業を伝える活動をされてきています。大西さんは現在、木材の需要を高める新しい仕事を模索していろいろな製品開発などに取り組んでいます。
その中でも大切なのが、「環境問題」について知ってもらうこと。木材業全体のイメージを変えていきたいそうです。しかし、違法な伐採を行う業者も存在するとのこと。業界全体で一致団結して、「伐採」と「新しい木を植えること」をセットにし、みんなで環境問題に向き合っていきたい。大西さんの想いが溢れます。
「青年会などで木工イベントなんかを開くたびに、楽しそうに遊ぶ子供たちの姿を見て思っていました。『この子たちの未来を守っていきたい』って。」子どもの未来を守る。そのためには、まずは木と触れ合う機会をたくさん作ること。木に、親しみと温かさを覚えた体験を通じて、国産のスギなど持続可能な木材で子どもたちが自分たちで未来を選んでくれる。そんな自然素材に触れる楽しさを、大西さんは今日も伝えています。
木材業を通じては、エンドユーザーに繋がる機会があまりなかった株式会社トーア。ぜひ色んな人に、スギ材に触れる機会を贈りたいと、「スギコロ」を開発しました。
「スギコロ」は、塗装や防腐剤を一切使用せず、宮崎県産のスギ材を乾燥させ仕上げた積み木です。スギ材は木材の中でも柔らかい素材。よく傷がつき、あまり強度がありません。しかし、だからこそ他のものを傷つけにくく、また、軽い。小さな子どもが自分の背ほど高く積み上げ、落としたとしても、痛くありません。とても「やさしい素材」と言えます。兄弟や友達で遊ぶと取り合いの喧嘩が起こりそうですが、そんな場合も安心して一緒に遊ばせることができます。一つ一つ手作業で丁寧に仕上げられ、手触りも、優しい。傷がつきやすいため、折れや割れが起こることもありますが、そんな時は優しく紙やすりなどで削ってあげてください。遊びながら、スギ独特のやさしい手触りを感じることができます。
また、「スギコロ」の魅力は、「カタチ」にもあります。積み木といえば、読んで字の如く積み重ねるものが多い。しかし、「スギコロ」は凹凸のある切削加工を施し、子どもたちの創造を助ける機能を付けています。接合部を組み合わせれば、積む以外に遊びの幅が広がります。
ある日、「スギコロ」を展示していると、ロボットのような組み立てをしている子どもがいました。大人では、一度も出なかった組み合わせ方法。皆でそれを見て、とても感心したそうです。子どもだからこそ、その子どもにしかできない遊び方があるのだと思います。木と、長く触れ合う。その始まりが、子どもに与える木のおもちゃなのです。子どもの頃から親しんだ「木のおもちゃ」を原体験に、木で家を建てたり、木の家具を使ったり。木に触れる生活を送ること、子どもに木と触れ合う機会を与えること。それが、未来を守る一歩に繋がっていきます。
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