“漆器を通して豊かなライフスタイルを創造する” 時代の中で伝統を輝かせる山中漆器[守田漆器株式会社:石川県加賀市]

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“漆器を通して豊かなライフスタイルを創造する” 時代の中で伝統を輝かせる山中漆器[守田漆器株式会社:石川県加賀市]

          守田漆器株式会社 代表取締役 守田 貴仁様(石川県加賀市出身)

 

松尾芭蕉が有馬、草津とともに「扶桑の三名湯」と讃えた山中温泉(石川県加賀市)で450年もの歴史をもつ伝統工芸・山中漆器。その技と心を今に伝え、現代の暮らしを豊かに彩る漆器を創り続ける守田漆器の守田貴仁さんに、山中漆器への思いをうかがいました。

 

 

 

 

 

 

 

日常づかいの器から美術工芸品まで幅広く手がける理由

 

創業100年を超える山中漆器の製造元に生まれた守田さんは、高校卒業後アメリカの大学で電子工学を学び、帰国してから漆器業界に入ったという経歴の持ち主。会社を継ぐことを正式に決めたのは帰国後ですが、幼いころから跡継ぎだというプレッシャーは感じていて、「自分の最終的な仕事はこれなんだとどこかで思っていた」そうです。

 

守田漆器では、食器、茶道具からインテリアまで幅広い漆器を作っています。これはグローバルな視点を持つ現社長の貴仁さんの意向かと思いきや、「僕の代になる以前から、守田漆器には新しいことにチャレンジする努力を惜しまない社風があって。幸いなことに良いお客様に恵まれたこともあり、多彩な漆器を創ってこられました」とのこと。そのため、守田漆器の商品を初めて知ったお客様からは「こんな漆器もあるんですね!」と驚きと喜びの言葉を聞くことも多いといいます。

 

 

「あったらいいな」を叶えていくものづくり

 

お客様との関係を大切にし、お客様の「こんなものがあればいいのに」を叶える形で新しいことに挑戦していきたいという守田さんですが、自身が父親になった時には、子どもに使わせたいほんものの器が少ないと感じて子ども用の漆器を創りました。この「こどものうつわ」は多くの共感を得て、今では定番シリーズとなっています。

 

また、ステンレスに漆塗りを施したユニークな雰囲気の杯やカップも守田漆器の人気商品です。こちらは漆を塗ることで金属の冷たいイメージが払拭されるので寒い時期にも手に取りやすく、逆に塗り製品が重く感じられる夏には内側の金属の光沢が涼しさを感じさせて、一年中使いやすい品になりました。

もちろん、手に持った時の優しい感触や、飲み物をおいしくするなめらかな口当たりなど、漆塗りならではの魅力が十分に楽しめます。

 

 

自然と人間の驚くほどたくさんの時間を集めて作られる漆器

 

木目を生かして仕上げることも多い山中漆器ですが、守田さんはその木目に注目して欲しいといいます。「ご存知のように木目は木の年齢です。小さな器にも長い年月生きてきた木が使われていることがわかったりしす」。漆塗りの原料となる漆も、木が樹液をだせるようになるまで最低でも10年はかかるそうで、漆は自然の時間によって育まれるとても貴重な塗料なのです。

 

また、漆塗りの職人さんが一人前の仕事ができるようになるまでも長い時間がかかり、守田さんによると最低でも8年程度は必要だといいます。

漆を塗る工程も、化学塗料とは違い、塗ってから動かせるようになるまで6時間近く、商品として出荷できるまでには1週間はかかるとのことで、ひとつの製品ができあがるまでには本当に多くの時間がかかっているのです。

 

高級品というイメージが強い漆塗り製品ですが、メンテナンスをすれば何代にもわたって使い続けることができます。そしてそこに詰まった気の遠くなるほど多大な時間に思いをはせると、漆器は決して高価なものではないといえるのではないでしょうか。

 

継承するだけではなく、時代のニーズに応じて進化も必要

 

漆器を後世に残し、広く愛されるようにしていくには、伝統の技を継承するだけではだめだと思うという守田さん。「大切な部分はしっかりと受け継ぎながらも新しい技術や感性を取り入れて、時代に合った品物づくりができる技術を残すことこそが重要だと思うのです。例えば、山中漆器で重要なろくろひとつとっても、昔は手まわしでしたが、今は電動です。このように時代によって技術も変わってきていますから」。

 

山中漆器の伝統といえる技のひとつに木地を圧倒的に薄く挽いていく「薄挽き」があります。これは本体と蓋がぴたっと合う「合口もの」といわれる器などによく使われてきましたが、光が透けるほど見事な薄さを生かして照明器具に使えるのでは?というアイデアは昔からあったそうです。「でも薄く挽いたシェードは電球の熱で変形割れしてしまうので製品化が不可能だったんです。ところがLEDができてそれが可能になりました」

山中漆器オリジナルで石川ブランド製品に認定されているUSUBIKI LIGHTは科学の発達によって実現できた製品といえるでしょう。

 

また、薄挽きの技を生かした品として注目したいのが「寿ぐい呑み」です。単に薄く挽くのではなく、部分的に薄くすることで口当たりの良さと美しさを兼ねそろえたデザインにはまさに時代の感性が息づいています。

 

 

「今はとにかく、使ってくださる方の喜ぶ顔が見たくて、いいものをお届けしたいと思って頑張っています」という守田さん。

見た目の美しさやコンセプトの新しさが魅力的なだけでなく、一度使ってみるとその使い心地の良さに瞠目させられ、自分の大切な人にも贈りたくなる-そんな守田漆器の製品を手に取ってみませんか。