“優しいあかりで暮らしを彩りたい” 提灯×和紙の出会いが創るオリジナル照明 [彩光デザイン:岐阜県関市]
彩光デザイン 中村太郎様 岐阜県関市出身
いにしえから岐阜の特産として広く知られる「岐阜提灯」と「美濃和紙」。その伝統技法と日本の風土に寄り添う雅趣を大切にした和紙照明を創作しているのが岐阜県関市にある彩光デザインです。モダンでありながらどこか懐かしく、そばにあるだけで心を和ませてくれる彩光デザインのインテリア用和紙照明について、同社の中村太郎さんにお話をうかがいました。
今の岐阜県にあたるエリアでは古くから紙の原料となる植物や良質の竹が多く採れたため、それを利用して和紙や提灯が作られてきました。
その伝統は現代にも引き継がれていて、中村さんのお母様で彩光デザイン創業者のひとりである中村ちゑみ代表も独立以前は提灯メーカーに勤務されていたそうです。
彩光デザインは1996年の創業。当初から岐阜提灯の技法を用いたインテリア用照明を手がけています。
最初に発表された製品は提灯を思わせる丸形で手頃な大きさのテーブルライト。このモデルは今も健在で、創業以来のロングセラーです。
提灯作りの工程の中でも、型に巻きつけたひごに紙を少しずつ重ねながら貼り付けていく「紙張り」は難易度が高く、美しく仕上げるには熟練が必要。彩光デザインでは約10名のベテランスタッフが製造を担っていますが、中には20年近く提灯作りに携わってきた方もいるそうです。
「実は、提灯の技法では作れる形がある程度決まってしまうんです」と、自らデザインもする中村さん。しかし、ひごの巻き方をランダムにしたり、用いる紙を変えたり、シルエットにひねりをきかせたりと、さまざまな工夫を重ねて、頭の中に浮かんだイメージを形にしていくといいます。例えば質感の異なる紙を交互に張る技法でデザイン性を高めた照明は彩光デザインが草分け。また最近では、小型なのにボリューム感があり、見る角度によって印象が変わる太鼓をイメージしたテーブルランプ「ドラム」も評判の商品となっています。
時流に合わせた和紙照明を次々に発表してきた彩光デザインですが、中村さんによると、「最近は和室用のペンダントライトが人気ですね。また提灯をベースにしたシーリングライトは他ではあまり作られていないこともあって、「こういうのを探していた」と喜ばれるお客様も多いです」。加えて、デザイン性の高い置き型の照明は、新築祝いなど贈答品としての需要も高いとのことでした。
和紙を通した光は柔らかく、優しく包み込むように人の心を落ち着かせてくれます。彩光デザインでは、商品によって雲龍紙、柄入りすかし和紙、揉み紙などさまざまな和紙を使い分けていますが、その中でも中村さんが注目しているのが本美濃紙です。
岐阜特産の美濃和紙には1300年以上の歴史があり、2014年には美濃和紙の最高峰といえる「本美濃紙」の手漉き技術がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
「本美濃紙は派手な紙ではないので、一般の方には面白みがない紙に見えるかもしれません。でも多くの紙を扱ってきた私たちからすると、その質感、風合い、耐久性など、どれをとっても本当に素晴らしい紙なのです。
名人が手漉きする本美濃紙を使った照明はどうしても価格が高めになりますが、その灯りは風雅でやさしく、一度使えば魅力をわかっていただけるでしょう」。
彩光デザインが創り出すインテリア用和紙照明は、まさに癒やしのあかり。
多様なストレスにさらされながら生きる現代人にとって、今後ますます必要となるアイテムではないでしょうか。
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